電動工具の種類と選び方から用途別の特徴などをご紹介
公開日:
:
商品紹介
大工さんや空調設備、水道屋さんなどのプロの職人さんが使うものから、組み立て式家具をつくるときのDIY用など、多くの電動工具が巷に溢れています。
メーカーや種類も多岐にわたるため、選定するのも大変です。
そこで今回はプロが使う電動工具に絞って、用途別に解説していきます。
目次
電動工具の構成要素
電動工具は大きく電気部品と機械要素から構成されています。
電気部品とはバッテリーやモーター、機械要素はギアなどです。
これらのほかに作業を行うために必要な先端工具もあり、アクセサリと呼ばれています。
実際に使える力は60%
電動工具はその名のとおり、電気エネルギーを利用して作業を行う道具です。
電気エネルギーは100Vの交流電源またはバッテリーによる直流電源から供給されます。
供給された電気エネルギーはモーターの発熱により30%が、機械部の摩擦抵抗により10%がそれぞれ失われます。
よって実際に作業を行える出力(実効出力)は入力の60%になります。
電動工具を使うには先端工具(アクセサリ)が必要
電動工具は本体だけでは作業できません。必ずドリルビットなどの先端工具が必要になります。とくにプロ用の電動工具には先端工具が付属していないため、別途購入する必要があります。
電動工具の実効出力から考えて、先端工具が劣っている場合は著しく作業性が損なわれます。よって先端工具の品質によって作業性が大きく影響します。
先端工具は消耗品です。一般的に電動工具本体の3倍の金額を先端工具に使用するといわれています。
※例.1万円の電動工具を使用した場合、それが寿命を迎える(壊れる・使えなくなる)までの間に、先端工具だけで3万円分消費する
電動工具の種類と特徴
電動工具には名前のよく似たいくつかの種類があり、用途によって使用する工具が異なります。
電気ドリル
いわゆる回転するだけの電動工具です。回転数はスペックにより異なります。
木材や金属の板の穴あけなどに使われます。
シンプルに回転のみを行う構造となっており、硬いコンクリートへの穴あけやネジ締めといった用途には使うことができません。そのぶん、ほかの電動工具と比較して安価で入手が可能です。
選定時の注意点
ドリルの付け外しは一般的にドリルチャックをチャックハンドルで回転させますが、キーレスチャックはチャックハンドルが不要で片手でチャックを回すだけで固定できます。
振動ドリル
振動ドリルはタイルやモルタル、石材、レンガ、コンクリートなど、もろく、目詰まりしやすい材質の穴あけに使用する電動工具です。回転に加え打撃の力を備えているので、硬いものの穴あけに使うことができます。電動ドリルに穴あけ方向の打撃(振動)とかみ合わせのギアを搭載している構造となります。使用する際は本体を対象物に押すようにして穴をあけていきます。
振動ドリルの機構
駆動軸の回転により回転カムが回転します。
回転カムの傾斜により固定カムを押し上げて、ばねを圧縮します。
さらに回転すると傾斜面から固定カムが外れ、ばねの押力で固定カムが回転カムに衝突し、ビットから打撃力(振動)を生じます。
電気ドリルとの違い
一般的な電気ドリルの回転に加え、取り付けた先端工具(ドリルビット)に垂直方向の振動を同時に与える機能が付いています。その振動効果で電気ドリルでは穴あけできないコンクリート、モルタル、石材などへの穴あけが可能です。振動機能を発生させない切り替えレバーも付いているため、通常の電気ドリルとしても使用できます。
ハンマードリル
ハンマードリルは振動ドリルを強力にした電動工具です。振動工具よりも打撃力が強い仕様となっています。ピストンが内蔵されているため片手でもコンクリートのような硬いものにも大口径の穴をあけることができます。先端工具のビットの後ろをハンマーで叩いているようなイメージです。「ドリル」と名の付く電動工具の中では一番大きく、またパワーの強いタイプです。
ただ力が強いぶん、タイルのような割れやすいものやコンクリートの端に穴をあける際には向いていません。その場合は、先述の振動ドリルを使用します。
ドライバードリル(ドリルドライバー)
ドライバードリルはドリルドライバーとも呼ばれます。
ドライバードリルは穴あけとネジ締めの2つの機能を備えた電動工具です。回転に加えトルクの機能があります。繊細なネジ締めと下穴などの簡単な穴あけに適しています。
トルククラッチという締め過ぎを防ぐ機能が内蔵されており、設定されたトルクに達すると自動的にクラッチが切れて空転状態になり、ネジ山を潰すことを防いでくれます。
穴あけの機能も備わっているので、1台あれば電気ドリルを購入する必要がありません。
ビットの装着方法(キーレスチャックの場合)
スリーブを回すとそれに応じて先端のツメが開閉します。
ビットが間に入るまでツメを広げ、ビットを差し込むと固く締め付けます。
インパクトドライバー
プロユーザーに最もポピュラーな電動工具です。ドライバードリルにハンマー(打撃)機能が追加されたものになります。
回転方向に打撃が加える仕様のため、強力な力を発揮できます。そのためネジやボルトの締め付けに特化したつくりといえます。専用のソケットが多くのメーカーでラインナップされています。
トリガーを調整することで打撃が作動しない低速回転により、電気ドリルと同じ働きをさせることも可能です。ただし慣れていない人が使用すると打撃が加わってしまい、先端のビットが折れてしまうこともあり、注意が必要です。
ちなみにソケットに関して、広く黒のものとシルバーのものが出回っていますが、黒がインパクトドライバー用、シルバーのものはハンドツール(手締め)用のものとなっています。
ドライバードリル(ドリルドライバー)とインパクトドライバーの違い
プロの職人にとくに人気が高いのが、ドライバードリル(ドリルドライバー)とインパクトドライバーです。
2種類とも電動ドライバーではありますが、機能と用途に違いがあります。
外観で見分ける場合、それぞれの大きな特徴はその先端部分にあります。
ドライバードリル(ドリルドライバー)の先端形状
ドライバードリルの先端部分にはトルク調整ダイヤルがあります。
これはクラッチとも呼ばれ、インパクトドライバーにはついていません。
締め付ける力が設定値以上になると空回りするようになっており、薄い板などに対し、対象を壊さないようにする安全装置の役割を果たします。
またそれとは別に、先端が円錐形のタイプもあります。
これは「ドリルチャック」と呼ばれるものです。
大型のドライバードリルは、ほぼこのドリルチャックのタイプです。
先端工具(ビット)を差し込んでチャックを回すと、3本の爪で挟み込み、しっかりと固定されます。
※まれにインパクトドライバーと同じ六角軸ビットスリーブのタイプもあります。この場合は六角軸のビットしか装着できません。
インパクトドライバーの先端形状
インパクトドライバーの先端はすべてが六角軸ビットスリーブです。
機能と用途の違い
ドライバードリル(ドリルドライバー)
穴あけ :コンクリート、石材、金属、木材に穴をあけられる
ねじ回し:ねじを回して家具の組み立てや機械の修理など
インパクトドライバー
打撃回転での締め付け:木材へのコーススレッドの打ち込みやボルトの締め付けなど
材質別、穴あけに最適なドリルはどれ?
電動工具はその特性によりさまざまな動作をします。
ここでは穴をあける対象の材質別に、各電動工具の得意・不得意についてご紹介します。
木工 | 鉄工 | コンクリート | ネジ締め | |
---|---|---|---|---|
電気ドリル | ◎ | ◎ | × | △ |
振動ドリル | ◎ | ◎ | ○ | △ |
ハンマードリル(※) | △ | △ | ◎ | △ |
◎ 非常に得意
○ 得意
△ ある程度可能
× できない
※アダプタ(SDSハンマーチャック)を装着、本体の打撃を停止し、回転のみにすることで木工・鉄工の穴あけができるようになります。
※SDS:Steck・Dreh・Sitzt(差し込み、回し、固定されるの意。ドイツ語。独ボッシュ社が開発)
コンクリートへの穴あけ
振動ドリル
使用ドリルビット:振動ドリルビット
作業者が電動工具本体を保持することで細かい打撃を発生させる。
ハンマードリル
使用ドリルビット:SDSプラスビット
電動工具本体が打撃を発生させる。
木材への穴あけ
貫通穴用
- 先端部ネジ形状(誘導ネジ)のため止め穴の作業が困難
- 穿孔(せんこう ※穴をあける)速度が速い
- 機械の負担が大きい
止め穴・ダボ用の下穴あけ
- 先端部錐形状のため止め穴の作業が容易
- 穿孔時に押し付けが必要
※ダボ:家具に使用される接合するための部品
その他の穴あけ
金属への穴あけ
- 主に電気ドリルを手で使用する場合は薄板への加工作業となる
- 厚板精度の求められる加工ではドリルスタンドを使用
コンクリート・レンガ・モルタル・石材への穴あけ
振動へ電動工具本体のレバーを切り替えて使用
- 錐先端部は母材を破壊して穿孔するために超硬のチップがロウ付けされている
ドライバービットの先端形状
※ポジドライブ:星形に近い形状。海外製品に多いビットです。スキー板などに使われています。
※ヘクスローブ(トルクス):海外製品に多く精密機械や自動車関連に多く使われています。
電動工具のV(ボルト)とAh(アンペアアワー)の違い
電動工具やバッテリーに表記される、○○V、○○Ahは何を意味するものなのでしょうか?
Vはボルト(Volt)、つまり電圧のことで、力の強さを表します。
電動工具のバッテリーでは、1個あたり3.6Vのセル(単電池)を直列でつなぐことで10.8V、14.4Vなどと表記しています。
Ahはアンペアアワー(ampere-hour)と読み、安定した1アンペア(A)の電流を1時間流すことで移動する電荷の量のこと。つまり容量を表すものです。
わかりやすくいうとV(ボルト)はパワー、Ah(アンペアアワー)はスタミナということになります。
例として「12V 100Ahのくぎ打ち機」の場合、12Vの力で10アンペアの放電を10時間行える、ということになります。
参考:知っておきたい!プロツールの基礎知識 ココミテ
PC
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
お手間でなければぜひ本記事のご紹介をお願いします。関連記事
-
-
シールの糊復活からマニキュア落としまで 理系が愛用するキムワイプ
理系の生態をゆるく面白おかしく描いた連続ドラマ「理系の人々」(原作 よしたに)放送に際し、ひかりTV
-
-
【随時更新】 どうみても普通のスニーカー おすすめオシャレ安全靴
安全靴といえば作業現場における資材や機械、部品などの落下から足を守るためにつま先に鉄板が入っ
-
-
モノタロウ 市場価格の4割安のOPPテープ
MonotaRO(モノタロウ)はこのほど、市場価格の4割安を実現したOPPテープ3種を同社プライベー
-
-
TOTO ベッセル式洗面器がiFゴールド賞受賞
TOTOのベッセル式洗面器が、国際的に権威のある『iFデザイン賞2017』(主催:独iFインターナシ
-
-
水生活製作所 シャワーがGD賞
水生活製作所(旧社名早川バルブ製作所)の「ミストップ・リッチシャワー」が2017年度グッドデザイン賞
-
-
フマキラー、アリ対策剤の「ヒアリ」への効果が確認される
ここ数日、ニュースをにぎわしている「ヒアリ」。強い毒性があり、その毒針で刺されるとアレルギー反応を引
-
-
LIXIL 水栓まわりのデザインと機能が進化 スマート・ドレッサー 新「L.C.」
LIXILは、水栓まわりのデザインと機能を進化したスマート・ドレッサー 新『L.C.(エルシィ)』を
-
-
フローバル 送排水用ホース「ブルーホース」新発売
継手・バルブ・ホース金具など工業用配管部品の専門商社であるフローバルはこのほど、送排水ホース
-
-
LIXIL 100年クリーンの「アクアセラミック」が100万台突破
“100年クリーン”でお馴染みのLIXIL(東京都千代田区)の衛生陶器「アクアセラミック」が、18年
-
-
サーキュレータ―と扇風機の違いとは
ホームセンターのラインナップ拡充やBtoB(業者向け)通販の台頭によって、一般の方でもサーキュレータ